焦燥した魔術師が問いかける
「オレ、コントロール デキテ イルカ?」
前回のコラムでは、逆位置の愚者に迎えられてのスタートでした。
そして今回、記念すべき第1回に引いたのも……またしても逆位置のカード、
THE MAGICIAN(魔術師)。
もちろん、そんな都合のいい“偶然”があるわけはありません(笑)
でもこのカードを見ていたら、なぜか昔の自分の姿と重なってしまったのです。
■ 視覚で読む、逆位置MAGICIANの要素
魔術師は本来、意志と技術を備えた「始まりの象徴」。
整った身なりで無限の象徴を頭上に掲げ、堂々と天と地をつなぐ人物です。
逆位置の魔術師を描き出すために、私がカード生成で意識した要素はこちら:
- 四大元素の道具(机上のスート) → 道具が雑然と散乱。欠けたり壊れていたりして、明らかに「扱いきれていない」。
- 天と地を指すポーズ → 肩や腕の動きがぎこちなく、エネルギーが正しく流れていない印象。
- 無限(∞)のシンボル → 歪み、「8」や「0」に見える形に。持続性や循環が乱れている。
- 光やオーラの表現 → 色が濁ったり、光がチラつくなど、力のコントロール不全を象徴。
- 水晶球・光の玉 → 曇っていたり、亀裂が入っていたり、実体のない火花だけが散る“詐術感”。
この設定で最初に登場した彼は、額に手をあて、眉間にしわを寄せたまま立ち尽くしていました。

明らかに何かが“噛み合っていない”ような、不安と混乱が滲んでいる姿です。
もうすこし試行錯誤を加え、最終的に完成したカードがこちら。

初期版よりも焦燥感が強まり、「うまくいかない感」が表情にしっかり出ています。
スートは揃っているのに、どこかまとまらず、“道具はあるのに成果が出ない”状態。
そしてなぜか、机の横からは困り顔のライオンまで登場。
……私自身がコントロールできていなかった証拠、かもしれません。
■ このカードの象徴・キーワード
- 【正位置】意思の力・自己表現・始まりの魔法・技術と実行力
- 【逆位置】空回り・準備不足・見せかけの自信・自己過信・本質の見失い
■ シーン別リーディング
💘 恋愛
うまく見せようとするあまり、逆に“自分らしさ”を見失ってしまう時。
言葉だけが空回りし、相手との距離感が噛み合わないことも。
💼 仕事
スキルや知識はあるのに、それを活かしきれない状態。
無理なプレゼンや、理想を詰め込みすぎた企画が滑る可能性も。
🤝 人間関係
「認められたい」「よく見られたい」という思いが先行し、素直に話すことが難しくなる。
その結果、誤解や信頼のミスマッチが生じやすくなります。
■ このカードが伝えたいこと(紫雲の視点)
この魔術師を見たとき、私はふと、かつての“徹夜明け”の記憶が蘇りました。
達成不可能な納期に追われ、仕上げは間に合わないと分かっていながら、
「やってます感」だけを見せるために走り続けたあの日々。
見た目には何かしているように見えても、心が伴っていない。
意図もなく、ただ動いているだけの自分。
逆位置のMAGICIANは、そんな状態を映し出してくれたように思います。
「そのアウトプット、本当にあなたが伝えたいことになってる?」
焦りや義務感に追われ、目的を見失った状態では、魔法は起きません。
道具を使いこなす前に、「なぜ、それを使うのか」を明確にすること。
このカードは、そう語りかけてくるのです。
■ 今日のまとめ
- 逆位置の魔術師は、焦り・迷い・意図の不明瞭さを象徴する
- 技術や才能に頼るだけでは魔法は生まれない
- “心の方向”を整えることが、魔術の第一歩になる
📌 次回予告
次に登場するのは……逆位置にしたら性別まで変わって見えたという、あのカード。
その真意とビジュアルのギャップに、私もちょっと戸惑っています。
このまま公開していいのかな……?(でも、たぶん、します)
🧙♀️ 紫雲 – Shiun
タロットと紫微斗数を中心に活動する占い師。
「カードの絵柄は、心の鏡」をモットーに、ゆるやかに読み解いています。